4月某日。辻堂海浜公園前バス停、少し長ったらしい名前なのだが、ここが最寄りのバス停。昼間のサラリーマン仕事で出勤する時は、ここから江ノ電バスに乗り、JR辻堂駅へ向かう。のんびりしたもので、都心にいた頃とは打って変わって、バスの本数が少なく、次のバスを待つこともしばしば。が、バスを待つ間、R134方面に目をやると海を望むことができ、頭をくるりと回して海浜公園側に振り向くと、彼方に雄大な富士山を拝むことができる。
何気ない日常なのだが、昨秋、高校の部活のOB会で久しぶりに大阪に戻った際、柔道場で一緒に汗を流した懐かしい仲間たちにその事を話すと、皆に『なんと贅沢な!』と驚かれてしまった。そう、普段使いしている我がバス停の立地は、実はとても心に贅沢なのだ。確かに、朝どんなに急いでいても、バスに乗る前に自ずと海と富士山が視界に入り、慌しく波打っていた心が少し落ち着き、何だか気持ちよくバスに乗車している気がする。都心に出るのに少し時間はかかるが、イラストやエッセイの題材に事欠かず、大好きな波乗りを優先できる恵まれた環境に感謝しかない。
今日もバスを待つ間、富士山の方を見やっていると、ピューイ!と甲高い鳴き声が頭の上でこだまする。海からの風を両翼に目一杯受けたトンビが気持ちよさそうに旋回している。彼もまた、春の到来を喜んでいるのだろうか。日日是好日なり。
Ryuei