波待ちダイアリー54 気嵐の朝〜The Morning When the Sea Was Breathing

昨夜、いつもの習いで、寝る前に天気予報とタイドグラフを見比べた。
明日の朝イチは、たぶん波がない。
それに雪予報、オフショアも強め。
寒さだけが際立つ朝になりそうだ。
だから明朝は、サーフィンは見送ろう。
そう決めて布団に入った。
それでも朝になると、体は勝手に目を覚ます。
習慣というより、もう癖に近い。
「ちょっと海まで散歩するだけ」 そう自分に言い訳して、家を出た。
ビーチに出た瞬間、思わず足を止めた。
海の上に、白い靄が立ち込めている。
気嵐だ。
まるで温泉の湯気みたいに、海全体が呼吸している。
その中に、ポツリ、ポツリとサーファーの姿が。
いつもの顔ぶれだ。 波はない。
それでも、みんな静かに海に浮かんでいる。
「好きなんだなぁ」 ふっと、そんな言葉が胸に浮かんだ。
波があるから入るんじゃない。 条件がいいから来たわけでもない。
ただ、この朝、この海に身を置きたい。
それだけで、十分なんだ。
外は刺すように冷たいのに、 海の中は不思議とやさしい。
気嵐に包まれた水面を見ていると、 ここだけ季節が少し違うみたいだった。
誰も多くを語らない。 波も、音も、最小限。
それでも、この景色があるだけで、 朝はちゃんと特別になる。
今日は入らなくて正解だったのかもしれない。
それでも、海まで来てよかった。
仲間がいて、海がそこにあって、 好きなものが、好きなままで在ると確かめられたから。
こういう朝があるから、 また次の朝も、自然と目が覚める。

日々是好日なり。
Ryuei

→波待ちダイアリー53 日の出の転換点

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA