朝の海は、静かに始まる。
空はまだ薄く、
波も小さい。
特別さは無く、むしろ、見過ごしそうな朝だ。
ボードを抱え、波打ち際に立つと、ふと足下に目が行く。

小さな泡が静かに弾け、貝が慌てて砂に潜る。
誰も気に留めないような営み。
でも、その一つひとつに、
どこか心が留まる。
海に入る。
波はやはり小さい。
けれど、よく見ると、
うねりにはわずかなリズムがある。
ほんの少しの角度、
ほんの少しのタイミング。
それを逃さずに拾うと、
短いけれど、確かな一本になる。
派手さはない。
でも、どこか満ちている。
思う。
創造的な生き方とは、
特別な何かを求め続けることではない。

目の前にあるものを、
どれだけ丁寧に見ているか。
どれだけ細部に気を配っているか。
砂の感触も、
波の癖も、
風の向きも。
それらはすべて、
自分と世界を繋いでいる。
注意深くあると、
世界は静かに輪郭を持ち始める。
そしてその中に、
不思議と癒しが生まれてくる。
特別な一日でなくてもいい。
ただ、見ようとすること。
それだけで、
日常は少しずつ、
深く、美しくなる。

日々是好日なり
Ryuei