人生は一度きり、人は必ず死ぬ。人生に限りがある事は十分に意識していたつもり。50歳を前にした当時、だからこそ人生後半戦はやりたかった事や好きな事を優先する、そんなライフワーク計画を多忙な会社勤めの傍ら練り始めた。
と、そんな矢先、仲の良かった同僚があっけなく死んだ。少し前に首の後ろに腫瘍ができたとかで緊急入院して摘出手術。が、手術はうまく行かず、奥さんと二人の娘を残して彼は突然旅立った。
快気祝いは盛大にやるぞ、手術の前日まで病床の彼とメールのやり取りをしていた僕は、ポツンと取り残されてしまった。そしてとても大切なことに気づいた。有限の人生、その賞味期限は、実は誰にも分からないという事を。
だから、ライフワーク計画は中途半端なまま実行に移した。いつ幕切れが来るかも分からないのだから、不十分な計画でも構わない。行った先で都度、修正すれば良い。
あれから7年。時間に少し余裕のできる職場に転職した僕は、住処をそれまでの都心から以前住み慣れていた湘南に戻し、20年ぶりにサーフィンを復活させ、日々の生活を丁寧に楽しみ尽くし、そしてイラストとエッセイを海辺の小さなアトリエから発信している。
そう、可能性は無限だけど人生は有限。このシンプルな理を静かに胸に抱きしめて生きている。
Ryuei
→波の理30 好きなことして笑っている、その繰り返しこそが人生の理