The Law of the Wave 波の理61 人生が丸みを帯びるの理~When Life Begins to Round Its Edges~

人生が丸みを帯びるの理~When Life Begins to Round Its Edges~

夕方の湘南は、空も海も静かに色づいていた。

波の音だけが、風の中に途切れず続いている。

サイズは胸肩、ときどきオーバーヘッド。

アウトに浮かぶ顔ぶれを見れば、この波が選ぶ人間は自然と限られているとわかる。

少し、足が止まった。

沖のセットを見て、身体がわずかに強張る。

けれど、その逡巡は長くは続かない。

行けるか、行けないか。

以前よりも、その判断は静かになっていた。

無理を通すのではなく、

自分の中にある、波との小さな信頼を探る。

ボードを抱え、海に踏み出す。

パドルは決して軽くはないが、重くもない。

波の裏側に出るたび、空が少しずつ開けていく。

無理はしなかった。

セットのピークには行かず、

自分のタイミング、自分のポジションを守る。

焦らず、欲張らず、波を読む。

すると、不意に一本が来た。

ピークから少しずれたその波は、

皆に見逃されたまま、

静かに、しかし確かに、うねりを持ち上げ、厚みを増しながらブレイクへ向かっていた。

最初のひと掻きを深く。

すると、板がグッと勢いよく走り出す。

思ったよりも、ロングライドになった。

「上手くいった」とは、少し違う。

波と自分が、無理なく噛み合った。

その感覚が、胸の奥に静かに残った。

海の上で、しばらく浮かんでいた。

空は赤から藍へと変わり始め、

風が少しだけ冷たくなる。

あの瞬間、

「できっこない」と口にしていたら、

きっとあの波とは、交わらなかった。

「もしかしたら」と思えたことで、

世界の輪郭が、ほんの少しやわらいだ。

波の大きさでも、

ライドの長さでもない。

ただ、その一本が、今日という一日の中で、

まっすぐ自分の中に残っている。

気づけば、

人生が少し、丸みを帯びている気がした。

日々是好日

Ryuei

→Blissful Silhouette(A4サイズ)

→波の理60 人生は変化の連続の理

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