夕方の海は、どこか判断を鈍らせる。
サイズは十分で、面も悪くない。
なのに、一本がなかなか噛み合わない。
『これじゃない、この後ろ、もっといいはず』
そう思って見送った波の裏に出ると、次のは、途端にサイズタウン。
完璧な一本を待つうちに、海は少しずつ色を変え、セットの間隔も、リズムも、いつのまにか別の表情になっていた。
結局、その日は、『これだ』と思える一本に乗れなかった。
空しさが、ちょっぴり残る。
でも、海から上がって思った。
あの波に行かなかった理由は、あの波が悪かったからじゃない。
“もっと完璧な波”を、
自分が勝手に想定していたからだ。
マイルス・デイビス曰く、
『間違いを恐れてはいけない。そもそも間違いなど無いのだ』
サーフィンも、創作も、人生も、きっと同じだ。
完璧を求めた瞬間、目の前にあった可能性を、自分で閉じてしまう。
一本に行く。
うまくいかなくても、行く。
その積み重ねだけが、前に進む感覚を残してくれる。
完璧主義は、前進を拒むための、とても巧妙な言い訳なのかもしれない。
日々是好日なり
Ryuei



