波待ちダイアリー49 サーフセッション〜Like a Jazz Improvisation〜

サーフセッション〜Like a Jazz Improvisation〜

朝の海には、静けさと期待が同時に漂っている。

風は弱く、海はまだ眠たげだ。ラインナップには、いつもの波友たち。言葉を交わさなくても、互いの気配が自然と伝わってくる。

そんな朝のセッションが、最近ふと、ジャズの即興演奏に似ていると思うようになった。

波はいつも即興だ。

予測はできても、完全には読めない。タイミングもサイズも、その瞬間ごとの気まぐれ。だから僕たちも、構えすぎず、決めすぎず、波のリズムに身を預けるしかない。

誰かが動けば、誰かが引く。

乗る人がいて、譲る人がいて、笑う人がいる。そこにあるのは、勝ち負けじゃなく、流れを大切にする感覚だ。言葉にならないけれど、確かに“リズム”のようなものが漂っている。

サーフィンは、競うものじゃない。

波を奪い合うんじゃなく、分かち合うものだと思っている。仲間と、海と、自分の心が、ひとつのセッションを奏でていると感じる瞬間がある。それはまさに、即興をスイングするジャズのようだ。

波に乗りながら、何気にビーチを見ると、仲間がこちらを見て笑っていた。

ただそれだけのことなのに、不思議と胸に沁みる。ああ、今、心が波と仲間と同じリズムで打っている。そんな感覚が確かにあった。

音のない音楽を、海の上で一緒に奏でる時間。

その一瞬一瞬に、僕は生きていると感じる。完璧なライディングじゃなくていい。このリズムを共にしたことが、何より大切なんだと思える。

日々是好日なり

Ryuei

→波待ちダイアリー48 小さな波、やさしい朝

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