死の法則。
人生は一度しかない。そして人は必ず死ぬ。更に言えば、いつ死ぬか分からない。オギャーと産まれたその時から、死へのカウントダウンが始まっている。だからこそ今、この人生を精一杯生きる。
僕は、20年前、転勤で湘南を離れた。以降、大阪、東京、香港と転勤を繰り返し、海やサーフィンから離れた生活を送り、気づけば50歳を少し越えた年齢となっていた。このままサーフィンから離れた人生を送るのか。いやいや、定年退職まであと10年程度なのだから、更なる転勤もあってとても波乗りできる環境では無いけど、我慢してこのまま定年まで安定した会社生活を送れば良い。サーフィンは、それからでも遅くないではないか。そんな風に考えていた矢先、元気だった同期が突然の入院。後頭部にできた腫瘍を取り除く手術に挑むために。僕は、ちょうど中東カタールに出張中で、「快気祝いは盛大にやろう」と病床の彼にメール、彼からも「是非に」という返信が帰ってきた。
が、手術の翌日、カタールのホテルで、僕は彼の訃報を受けた。つい先日まで元気だった同期の突然の死は余りにも衝撃的で、「人は必ず死ぬ。そしていつ死ぬか分からない」「元気なうちに波乗りのできる生活に戻らないと、そして本当に自分がやりたいことをライフワークに据えないと、もしかしたら突然の死に直面し、後悔することになってしまう」と、ペルシャ湾に沈みゆく大きな夕日を窓越しに眺めつつ決意した。
その後、僕は、ご縁を頂いて転勤のない職場に転職。都心居住をやめ、海まで歩いて3分の湘南の自宅に戻り、会社生活の傍らで大好きなサーフィンと、イラスト&エッセイというライフワークも始めた。
今の僕は、週の過半を朝イチサーフィンで始め、帰宅後や休日をイラストとエッセイに充てる生活を送っている。休みの日の夕暮れは、サンセットのビーチを散歩する。いつ死ぬか分からない。だからこそ「今」を大切に、サーフィンとアート、そして海辺の生活を心の底から楽しんでいる。
Ryuei