波待ちダイアリー72 漁船ウェイブ~A Gift from the Fishing Boat~

僕はサラリーマンの傍ら、イラストやエッセイ、それに小説といったアーティストワークをやっている、いわば二足のわらじ。

だから、サーフィンができるのは早朝だけだ。

なので、波が無かろうが、風が強かろうが、冬の暗くて寒い朝だろうが、基本、海に入る。

ではあるのだが、
湖か!と思ってしまうような凪いでいる日には、ついつい、ラインナップの先で操業している漁船に期待してしまう。

ヴゥオォォ──。

力強いエンジン音が聞こえ、煙突から白い煙が吐き出されると、期待に胸が膨らむ。

ゆっくり漁船が動きだす。

すると数十秒後、その航跡が一本の波となって、ゆっくりとこちらへやって来るのだ。

僕は、それを密かに楽しみにしている。

勝手に名前を付けるなら、

「漁船ウェイブ」

自然が作る波ではない。

でも、海からのちょっとしたプレゼントみたいで、なんだか嬉しい。

凪いだ海に一本だけ現れるその波は、天から垂れてきた蜘蛛の糸のように見える。

同じ思いで、ひたすら沖を見ながら波待ちしている他の連中も、みんな一斉に方向転換して、その波を追い掛ける。

なんとも平和な光景である。

もし僕が漁船の船長だったら──

波を待ちわびるサーファーたちを見るなり、

きっと何度も沖を行ったり来たりするだろう。

「ほら、もう一本!」

なんて心の中で言いながら。

もちろん、本物の漁師さんには仕事があるので、そんなことはできない。

だから今日も僕は、

漁船が沖を通るたびに、

少しだけ期待してしまうのである。

画像
                                   凪いでいる日は、漁船ウェイブ!

日々是好日なり


Ryuei
Surfer・Author&Illustrator

→波待ちダイアリー71 サーフィンと出会ってなかったら

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