最近、早朝の海で、少しだけ肌寒さを感じるようになった。
まだ八月。
日中は、相変わらず強い陽射しが照りつけ、真夏そのものなのだけれど、朝の海だけは少し違う。
午前四時過ぎ。
いつものように海へ向かうと、少し前までとは空気が違うことに気づく。
ほんの少しだけ、ひんやりしている。
そして、日の出も少しずつ遅くなってきた。
ついこの間まで、海に入る頃には東の空が明るくなり始めていたのに、最近は暗い海を眺めながら夜明けを待つ時間が長くなった。
早朝サーファーとしては、少し寂しい。
夏至を過ぎ、次第に遠ざかっていく夏の朝。
「もう少し、この季節が続けばいいのにな」
そんなことを思う。
ビーチでは、トンボの姿をよく見かけるようになった。
何匹ものトンボが、海から吹いてくる風に乗って飛んでいる。
照りつける太陽。
蝉の声。
まだまだ夏は終わっていない。
それなのに、海にはもう、次の季節の気配が混じり始めている。
不思議なものだ。
日中、街の中にいれば、そんな変化にはなかなか気づかない。
暑い。
今日も暑い。
八月なのだから、それで終わってしまう。
けれど、夜と朝の境目に海へ出ると、季節はもっと細やかに動いていることが分かる。
空の明るくなる時刻。
風の温度。
海水の感触。
浜辺を飛ぶトンボ。
そんな小さな変化の一つひとつが、季節が少しずつ前へ進んでいることを教えてくれる。
波待ちをしながら、三浦の向こうから昇る朝日を振り返る。
少し冷えた身体に、朝の光が暖かい。
あと何回、こんな夏の朝を迎えられるだろう。
そう考えると、いつもの早朝サーフィンが、少しだけ愛おしく思えてくる。
季節は、ある日突然変わるわけではない。
昨日と今日の間にある、ほんのわずかな違いを積み重ねながら、静かに移ろっていく。
そして、その変化に気づけることも、早朝に海へ入る楽しみのひとつなのだと思う。
夏から秋へ。
まだ、その境目には少し早い。
だからこそ今は、この二つの季節が混じり合う朝を楽しみたい。
明日もまた、夜明け前の海へ。
波を待ちながら、少しずつ移ろっていく季節を感じてみようと思う。
日日是好日なり。
Ryuei
Surfer・Illustrator&Author
