セットが入る。
ヘッドハイ。
フェイスは硬く、逃げ場がない。

下手っぴな僕は、このサイズになると、アウトに出るだけで大変。
ラインナップに着いたら着いたで、弱気の虫が走る。
もう、恐怖しかない。
それでも、意を決してパドルを始める。
うねりが鎌首をもちあげながら迫る、
その瞬間、
怖さに引っ張られて、
視線がノーズに固定されてしまう。
すると、
板は思うように走り出さず、
ただ置いていかれる。

ラインナップに戻り、
深く息を吸う。
そしてもう一度、向き直る。
今度は、
行きたい方向を見ながらパドルを深める。
先のライン。
抜けていく先。
視界が開く。
余計な力が抜け、
板が自然に走り出す。
すっと立つ。
気づけば、
波と、板と、自分の動きが重なっている。
思う。
視線は、
ただ見るためのものではない。
意識の向きを決めている。
どこを見るかで、
どこへ進むかが決まる。
怖れに視線を奪われれば、
その中に留まる。
望む方向に目を向ければ、
自然とそこへ向かっていく。
人生も、きっと同じだ。
行きたい場所。
なりたい姿。
そこに意識を向けること。
そうすれば、
現実は少しずつ、
その方向へと動き始める。
波も、人生も、
見る方向で、
乗り方が変わる。
だから今日も、
ほんの少しだけでもいい。
視線を上げる。
進みたい方へ。
すると不思議と、
身体も、流れも、
そちらへと向かっていく。
人生は、
静かに、
テイクオフしていく。
日々是好日なり
Ryuei