波の理71 今ここ!の理

 

       今ここ!サーフィンは直感を磨くのに適した営み

サーフィンをしていると、沖からやってくるうねりを見た瞬間、

「あ、これだ」

と思うことがある。

その波に乗れると決まったわけでもないのに、なぜか身体が反応する。

ボードの向きを変え、うねりを見ながらパドルを始める。

理屈より先に、身体が動いている。

そして、その瞬間はたいていワクワクしている。

以前の僕なら、こういう感覚を単なる気分の高揚だと思っていた。

いい波が来たから嬉しい。

乗れそうだからワクワクする。

ただ、それだけ。

でも最近は、少し違うように思う。

ワクワクするというのは、

「こっちだよ」

と、自分自身が教えてくれているサインなのではないか。

僕の場合、頭で考えすぎるとうまくいかないことがある。

もっといい波が来るかもしれない。

失敗したら嫌だ。

さっき乗れなかったから、今度こそ乗らなければ。

そんなことばかり考えていると、目の前にやってきた波を見失う。

逆に、

「これ、乗りたい」

と思った瞬間に動き出した時は、不思議とうまくいく。

もちろん、いつも成功するわけではない。

パーリングもするし、乗り遅れることもある。

それでも、その瞬間の自分は間違いなく「今」にいる。

過ぎてしまった波でもなく、

まだ見えない次のセットでもなく、

目の前にある一本の波と向き合っている。

「今を大切にする」という言葉は、ともするとスピリチュアルな精神論のように聞こえる。

でも、本当はもっと現実的なことなのかもしれない。

僕たちが実際にパドルできるのは、今、目の前にある波だけなのだから。

人生も同じなのだと思う。

いつか自由になったら。

いつかやりたいことができるようになったら。

いつか理想の場所に辿り着いたら。

その時になったら幸せになろう。

そうやって幸福を未来へ預けてしまうと、「今」はいつまでも幸福になるための準備期間になってしまう。

でも、未来というものが「今」の連続によってできているのなら、

未来で笑っていたい人は、今も笑っていた方がいい。

未来でワクワクしていたい人は、今もワクワクする方を選んだ方がいい。

苦しみ抜いた先には、苦しみしかないように思える。

沖から次々とうねりがやってくる。

どの波を見るか。

どの波に反応するか。

そして、どの波に向かってパドルを始めるか。

選んでいるのは、自分だ。

直感とは、成功する波を教えてくれるナビではない。

もしかすると、

「そっちの方が、あなたらしいよ」

と教えてくれる、小さな合図なのかもしれない。

だから今日も、僕はその感覚を大切にしたい。

沖からやってくるうねりを眺めながら、

心が少し動いた、その一本へ。

考えすぎる前に、ボードを返す。

そして、パドルを始める。

今、目の前にある波に乗るために。

Ryuei
Surfer・Illustrator & Author

→波の理70 気を滞らせないの理

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