波待ちダイアリー69 「ヘタパパ」連載を終えて~The Story Behind Heta Papa~

先日、noteへの『ヘタパパ』連載が、一の波から五の波まで、全38話をもって一区切りとなった。

現在、創作大賞のエンタメ原作部門に応募している。

まずは、ここまで読んでくださった皆さんに感謝したい。

実は、『ヘタパパ』には原点がある。

写真は、今から二十年以上前。

まだ子供たちが幼かった頃に、父親である僕が手作りした絵本だ。

タイトルは、

「へたくそパパサーフィン」

今思えば、全てはここから始まっていた。

画像
四半世紀前、手作り絵本「へたくそパパサーフィン」

ヘタパパの世界観は、そのまま僕のイラストやエッセイの世界観でもある。

上手くなくてもいい。

格好良くなくてもいい。

それでも好きなことを続けている人は、どこか魅力的だ。

海辺で出会った人たち。

波友たち。

サーフィンを通じて学んだこと。

そうしたものが、ずっと僕の創作の中心にある。

もう一つ、創作の大きな動機があった。

サーフィンをモチーフにした小説が、意外なほど見当たらなかったことだ。

ハウツー本や写真集はたくさんあるのに。

だけど、サーファーたちの日常や人生を描いた物語となると、伝記モノを除けば驚くほど少ない。

だったら、自分で書いてみよう。

そんな思いが、ずっと心のどこかにあった。

僕自身、今は湘南の海辺に、小さいながらもアトリエを構え、サーフィンのある生活を送っている。

波のコンディションに一喜一憂し、

海を眺め、

仲間と笑い合う。

そんな日々を現在進行形で生きている。

だからこそ、そのフィルターを通して見える世界を、文章として残してみたかった。

もっとも、『ヘタパパ』はサーフィンだけの物語ではない。

若い頃の商社マン経験。

広報という少し特殊な仕事。

組織の論理と個人の人生。

成功も失敗も含めた悲喜こもごも。

そうした経験もまた、この物語の大切な材料になっている。

実は、小説化の構想はかなり以前から温めていた。

しかし、当時の僕にはまだ書けなかった。

転職も経験していなかった。

子育ても終わっていなかった。

転勤の連続で湘南からも離れてしまった。

振り返ると、人生経験そのものが足りていなかったのだと思う。

五十歳を過ぎ、

転職を経験し、

子供たちを育て上げ、

六十歳が見え始めて、再び海のそばへ戻ってきた。

ようやく筆を取る条件が整ったのかもしれない。

実際に書き始めてみると、想像以上に難しかった。

サーフィンを文章で描写すること。

サーファーや海辺の暮らしの空気感を言葉にすること。

波の表情を伝えること。

改めて、サーフィンはもとより、スポーツ小説が少ない理由も少し分かった気がする。

それでも、この難しさこそが面白かった。

イラストとは違う表現の楽しさがあった。

僕にとって、小説は新しいチャレンジになっている。

そして不思議なことに、途中からキャラクターたちが勝手に動き始めた。

ヘタパパ、キッド、Mr.DJ、HAWKに大将と、作者である僕が予定していなかった台詞を喋り、

思いもしなかった行動を取る。

小説家がよく言う話を、僕も少しだけ体験することができた。

あれは楽しかった。

本当に楽しかった。

ひとまず、一の波から五の波までをもって創作大賞に挑戦している。

だが、ヘタパパの旅はまだ終わらない。

少しだけ息を整えたら、

また海へ出ようと思う。

六の波の向こうには、まだ見たことのない景色が待っている気がしている。

日々是好日なり

Ryuei
Surfer · Author & Illustrator

→波待ちダイアリー68 四半世紀の波

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