波待ちダイアリー77 海に国境はない~Same Ocean, Same Stoke~

 

                                                             Global Surf Odyssey

この夏、七月のまだ暑い盛りのこと。

ワックスを買いに、鵠沼のウォームアップサーフに顔を出した。

お店の主であり、我が師匠、ノブさんこと塩坂プロと、そのまま楽しい波談義に入った。

しばらくすると、一人の若い外国人女性が店に入ってきた。

どうやら、サーフボードをレンタルしたいらしい。

ノブさんが丁寧に対応し、気づけば僕も会話に加わっていた。

元商社マンの血が騒いだのかもしれない。

英語で話しかけてみると、彼女はドイツから日本へ来ているという。

彼女はドイツに住んでいて、サーフィンをする時は、お隣のフランスまで車を走らせて行くのだという。

「どれくらいかかるの?」

そう聞くと、

「十時間くらい」

と、ケロッとした表情で答える。

十時間?

思わず聞き返してしまった。

すると彼女は、何が?という感じで笑っていた。

彼女にとっては、ごく自然なことらしい。

十時間。

僕なら途中で心が折れるかもしれない。

でも考えてみれば、波を求めて車を走らせる気持ちは、湘南のサーファーだって同じだ。

距離のスケールが、ちょっと?違うだけなのかもしれない。

話しているうちに、ふと思った。

国は違う。

言葉も違う。

育った環境も違う。

それでも、サーファー同士で話していることは不思議なくらい変わらない。

波があった。

なかった。

どこで入る。

どんな板に乗る。

良い波を求めて、どこまで行く。

結局、そんな話ばかりだ。

サーフィンという遊びは面白い。

海に出れば、肩書きも国籍も関係ない。

どこの国から来たのかも、どんな仕事をしているのかも関係ない。

目の前に良いうねりが入ってくれば、みんな同じように沖を見る。

そして、

「あの波、いいな」

と思う。

ドイツから来た彼女が、僕がお世話になっているサーフショップに辿り着いたのも、なんだか少し嬉しかった。

遠い国からやって来た一人のサーファーが、僕たちのホームで波に乗ろうとしている。

海に国境はない。

あの日、ウォームアップサーフの店内で、そんな当たり前のことを改めて感じた。

日日是好日なり

Ryuei
Surfer・Illustrator&Author

→波待ちダイアリー76 ワンネス

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