押し入れの奥から、一冊の絵本が出てきた。
『へたくそパパサーフィン』
まだ子供たちが小さかった頃、 僕が描いた手作りの絵本だ。

波に乗るお父さん(僕)。 ぎこちない絵。 色鉛筆で塗った波。
今見ると、 お世辞にも上手とは言えない。
でも、その頃の僕は本気だった。
子供たちに喜んでもらいたくて、 夢中で描いた。
あの頃の僕は、 まさに「ヘタパパ」だった。
サーフィンも、 子育ても、 人生そのものも。
毎日が手探りだった。
それから四半世紀。
子供たちは社会人になった。 僕も歳を重ねた。
そして今、 あの絵本のタイトルだった 「へたくそパパサーフィン」は、 商標登録を終え、 イラストになり、 小説になろうとしている。

不思議なものだ。
未来のことなど、 何も考えていなかった。
ただ、 子供たちの笑顔が見たかっただけなのに。
人生は、 時々こんな波を用意してくれる。
乗ろうと思っていた波ではない。
けれど、 振り返ると、 ずいぶん長い距離を運んでくれた波だ。
思えば遠くへ来たもんだ。
でも、 まだ波待ちの途中。
次はどんな波が来るのだろう。
日々是好日なり。
Ryuei
